#29 8月6日

 1945年8月6日午前8時15分。耳をさくような爆音、肌が焼けるほどの熱。皮膚が垂れ下がり、血だらけとなって川面に浮かぶ死体。子供の名前を呼び、「目を開けて。目を開けて。」と叫び続ける母親。たった一発の爆弾により、一瞬にして広島のまちは破壊され、悲しみで埋め尽くされました。

 これは、今日、広島平和記念式典で小学生の2人が読んだ平和への誓いの一節である。

 後に誰も見たことがない破壊力をもたらす爆弾を積んだ飛行機は、機長の母親の名前であるエノラ・ゲイ・ティベッツから採られたと言われているエノラ・ゲイ。積載された爆弾は、ウランを用いた小型の爆弾であったことからチビという意味でリトルボーイと名付けられた。

 その名前とは裏腹に、破壊力は類を見るものがなく、一瞬にして街は破壊された。この原爆の投下を多くの日本人は非難する一方で、世界を見渡すと、この爆弾の投下のおかげで戦争が終わったとも言われている。最初に原爆が投下された場所は広島であることは揺らがない歴史である。しかし、最後の原爆投下の場所を長崎とすることは可能である。

 未来を託された私たちにとって、戦争を経験した祖先から命を繋がれた我々であるからこそ、今一度「平和」とは何か。考えなければならない。そう強く感じた1日だった。