#49 責任能力

 「こんなにたくさんの人が亡くなるとは思わなかった」

 今日、京都地裁でこう述べたのは、京都アニメーションの放火事件を起こした青葉真司被告である。ニュースでも話題の通り、本日、初公判が開かれた。弁護側は、心神喪失の状態として無罪を求めた。無罪でなくても、減刑を求めた。一方の検察側は、完全責任能力があったと主張した。

 争点は、京都アニメーションが、被告の作品を盗作したのか。というところまで遡っていくことになるだろう。盗作されたとされる作品の具体的なタイトルも上がっていることから、まずは、その作品についての調べが始まるだろう。しかし、恨みを持ったから人を殺して良い。ということは絶対にあり得ない。

 大きな裁判になると、精神鑑定がよく用いられるが、精神が不安定だったから刑を軽くしてください。というところには、どうしても納得がいかない。どんな状況であれ、人を殺めてはならないとこうことは、小学生でもわかることではないか。

 36人が死亡したこの事件であり、平成以降最多の死者数を出した殺人事件。これは世間の注目度は高いだろう。主治医は、「死に逃げさせない」「償いのために助けた」と語る。昼のワイドショーでは、火傷治療のスペシャリストと称されていた。安倍首相襲撃事件の主治医・今回の京都アニメーション事件被告の主治医といい、医師の発言には考えさせられる言葉が多い。

 いずれにせよ、来年の1月には判決が述べられる。その後、弁護側・検察側がどのような動きをするかはわからないが、まずは、盗作の真実については調べる必要があると考える。一方で、36人の尊い命を奪ったことについては、事実であり、極刑を免れられないのかもしれないが、残された遺族は、「なぜこうなったのか知りたい」と語っている。重度のやけどから、奇跡的にここまで回復した被告には、事実を語ってほしいと思う。