#99 慰謝料目当て

 梨泰院の雑踏事故が起きて間もなく一年。遺族に対しての中傷が続いているようだ。その中には、「慰謝料目当て」という言葉があったようだ。

 この言葉を見て、少し思い出したことがあった。それは、2011年の東日本大震災における大川小学校津波裁判における殺害予告の事件である。

 私は、防災を学んでいる学生であり、また、教職を学んでいる学生という立場で、去年から今年にかけ、この大川小学校の事故についてを中心に学びを進めた。その中で、「生きる〜大川小学校津波裁判を闘った人たち〜」というタイトルの映画が公開され、この映画の監督である寺田和弘氏とこの裁判の弁護士である吉岡和弘氏、齋藤雅弘氏のお三方とお会いし、お話しさせていただく機会も得た。

 その映画の中で、遺族に金目当ての裁判だとか、殺害予告が来たという話があった。親にとって、子供が亡くなった真相、亡くなった時の状況を知りたいことは当然の話である。教育委員会側の十分な説明がなく、時効直前で裁判を起こし、真相を確かめようとした。嘘で固められ、納得できない。そういうことであれば、裁判を起こして何が悪いのか。と感じるのが私の感想であるし、間違ったことに対して裁判で争うことは当然のことであると考える身である。

 さて、梨泰院の雑踏事故、間もなく1年にもなるのに未だ続く誹謗中傷。遊びに行っておいて死亡したのは、自分のせいだと本当に言えるのだろうか。雑踏事故の学習も併せてしている私ではあるが、そういった学習をしていない者が果たしてこの事故に巻き込まれない保証はできたのだろうか。そういった観点でこの事故を見てほしいと思う。