#104 臓器移植

 今月下旬、国内での臓器移植法に基づく脳死判定が1000例目となった。日本は、人口100万人あたりで見ると、脳死提供者数は0.88人だという。米国はこの50倍、韓国は9倍で日本は他国に比べて明らかに少ない。

 この臓器提供についてどう考えるか。やはり自分はどうしてもこの臓器を提供するという事に対して抵抗感を持ってしまう立場である。臓器提供の意思カードを見たことがあり、また免許証の裏にも同類のものがあるが、そこに自分で書くことはできずにいる。自分でもなぜかわからないが、躊躇ってしまう。

 移植をすることしか道がない患者さんも数多くいる。またその患者さんたちも提供者を待ち続けている一方で、人の死を待っているかのようで嫌だという心境を持つ方もいるそうだ。しかし、臓器提供者側となったご家族は、提供した子どもは、別の方の中で生き続けている。という表現をよくされている。間接的ではあるが、自分の家族がまだどこかで生き続けているというようにも感じるようだ。

 そんな人から人への臓器提供であり、難しい人の気持ちが絡んでしまうものであるが、アメリカでは、豚の心臓移植が2例目として行われた。ただ、1人目は、2ヶ月後に死亡。今回の2例目の患者も6週間後に死亡したという。この動物から人への臓器移植の研究も進められている。これが有用なものになるとするならば、より多くの患者さんが助かる事になり、この点については大いに期待したい部分である。

 さて、日本には、臓器移植待機者は約1万6000人いると言われている。それに対して、年間で移植を受けられるのは年間400人。臓器移植にはまだまだ大きな課題があると言える。やはり、最もな壁が拒絶反応であるそうだ。ドナーとマッチしないものは移植できない。これが大きな壁となる。

 臓器移植を我々はどう考えていけば良いのだろうか。簡単にあげますよとか、くださいとか言えるようなものではない。ただ、命が救われるためにはこの手段がないという人が国内に1万6000人もいるということ、これはこの記事を書いていて初めて知ったことであった。これは非常に考えるべき内容であるとも同時に感じた。